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ホームレス支援に関わる若者の話。

毎週鍼灸マッサージのボランティアに行かせていただいている東京・山谷。

 

そこで社会福祉士・精神保健福祉士として働く同世代の方がいます。彼は大学時代に一年休学し、山谷でボランティアに専念し、自らもホームレスの体験をしたりと、様々な経験をされてきた方です。そんな彼に、今の仕事や想いを聴く機会があり、今回はその感想を少し書いてみたいと思います。

 

 

 そもそもホームレスとは何なのか、考えたことはあるでしょうか?日本では路上生活者=ホームレスという概念があるらしいのですが、ある国では、家はあるが事情があり帰れない人、家にいられない人のことも「ホームレス」と呼ぶそうです。

日本でも、ただ単に家がないことがホームレスではないのかもしれません。ホームレスとは、社会とのつながりが絶たれた「状態」を指すことでもあるのだと、彼の話を聴きながら学びました。

彼の話していた言葉の中に、「本人が大切にしていることを、一緒に大切にする。」というものがあります。

 

ゴミ屋敷を例にとりましょう。他人から見たら、ゴミだらけの家はただ汚くて早く処理をしてほしい、なぜ片づけないのか、と思うでしょう。

しかし住んでいる本人にとって、それは本当にゴミの山なのでしょうか?本人にとっては大切な宝物なのかもしれません。思い出の詰まった捨てられない物なのかもしれません。それを、勝手な見方で「ゴミ」と判断してしまう。

 

私たちは普段から自分の考えが普通だと思っているところがあるのかもしれませんが、

その「普通」は自分の価値観を通した「普通」なのだと、この話から読み取れるのではないかと思います。

 

そんな自分の価値観を取っ払って、相手の価値観に寄り添う。相手の大切にしているものを知り、自分も同じように大切にしてみる。

そこから見えてくるものがある気がするのです。

 

私は、ボランティアを始めて多くのことに気付かされました。

ボランティアは奉仕ではなく、お互いに助け合うこと。何かをしてあげているのではなく、逆にいただいているということ。人間はみんな弱い生き物なんだということ・・・。

 

以前に、「ボランティアをして何の意味があるの?」「ひとりががんばっても何も変わらない」と言われることがありました。

その考え方を否定するつもりはないし、

そんな権利もありません。

 

だけど、私は何かを変えようとしているわけではない。ただ、おじさんたちと一緒にその場にいて、たわいもない話をすること。

鍼灸マッサージを通して、おじさんたちとコミュニケーションをとること。

その時間が、かけがえのないものなのです。

 

 

彼の話は、私の心を再び奮い立たせてくれるものでした。

ありがとうございました。