· 

鍼灸とカウンセリング

最近、少し専門的なカウンセリングの本を購入しました。「感情を癒やす」というキーワードに惹かれて読み始め、結構なボリュームでしたが3日で読み切ってしまいました。それくらい興味深く没頭できる内容だったのですが、その中である発見をしてしまいました。

「鍼灸とカウンセリングは通ずるものがあり、類似している要素がとてもたくさんある」ということです。(私なりの勝手な見解です 笑)


本の中に出てきた心理学の用語を解説しながら、類似点も挙げていきたいと思います。

ちょっと分かりにくい表現もありますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。。!

①トラッキング

 瞬時に変化する非言語の情報を細やかに観察する技法。表情、呼吸の速さ、声のトーン、ジェスチャー、座り方…など、多岐に渡ります。


→鍼灸治療の前後では、状態の確認を念入りに行います。問診から始まり、脈を見て舌を見て、お腹を見ます。非言語の情報を観察する力が必要なのです。痛みや不安がどれくらい軽減されたかだけではなく、話す内容や顔色の変化も大切だと思っています。



②トランスフォーマンス

 私たち誰もが持っている変容していく力、自己治癒力、つながる力、成長につながる力のこと。

停滞よりも変化を求める力、自己嫌悪よりも自己肯定する力、孤独よりも人との結びつきを選ぶ力です。


→自己治癒力は、鍼灸の効果を引き出す鍵になります。心身を改善するのは、鍼灸でも、鍼灸師でもありません。鍼灸を受ける患者さんの治癒力だと思います。それを引き出すために、私たち鍼灸師は精進します。鍼灸を受けてみよう、と思ってくださる時点で、変化は始まっているのではないかと考えます。



③ポスト・ブレークスルー感情

それまで苦しんでいた感情が変容したときに出てくる感情。ホッとした感じ、落ち着いた感じ、すっきりした感じ、軽くなった感じ、などとよくいわれます。非言語サインとして、ため息や笑顔、筋肉のリラックスも見られることがあります。


→治療後に、すっきりした、軽くなったという声はよく聞かれます。身体だけでなく、心にまで変化が及んでいるのだと思います。鍼灸を受けることで自律神経にも作用するため、副交感神経が優位になることで気持ちもリラックスしてきます。



④メタプロセシング

ポジティブな変容体験が起こったときに体験自体を振り返る作業。例えば、「〜を体験してみてどのような感じがしていますか?」というフレーズを用います。新しい変容体験が忘れられないように意味づけされて学びとなり、記憶に保存されるよう助けてくれる効能があります。


→治療後に、「今どんな感じですか?」と確認することは欠かせません。鍼灸師と患者さんが互いに変化を感じ、共有できる瞬間です。

患者さん自身が変化を感じにくいときもあります。身体に触れ、鍼灸をすることで身体の内部では微細な変化が起こっているのですが、感受性は人それぞれなので、それがいい、悪いということではありません。変化を感じると、やった感が出るので、それを求める方は多いと思います。

「変容体験」は、個人差が大きいのではないかと感じます。



本を読んでこのような発見があったことがとても嬉しいのですが、


鍼灸とカウンセリングは相性がいい、というのは

なんとなくみなさんが感じていることではないのかなあと思います。



萌木堂は、これからも心を癒やすカウンセリング鍼灸を追求していきたいと思っています。